娘は、一日中泣いてばかりであまり寝ない赤ちゃんでした。
人見知りが始まったのは生後4ヵ月頃。
それが、4歳になる現在までずっと続いています。
言葉を話し出した時期はわりと早く、その後の言葉の習得もスムーズでした。
家族の前ではとてもおしゃべりでひょうきんな娘。
でも、家族以外の前では顔がこわばり、笑顔が消え、別人のようになります。
挨拶されても返せないし、名前を呼ばれても返事できません。
そんな娘ですが、子供の前では少しだけ話ができている時期がありました。(1歳〜2歳ごろ)
でも、ある子に「何かしゃべって」としつこく強要された事があり、
しゃべると「○○ちゃんがしゃべった!!」と大騒ぎされてしまい、
それ以来子供の前でも話をする事がなくなりました。
娘がただの人見知りではないのではないか、と感じ始めたのはこの頃からです。
人見知りならば、例えばお客さんが家に来てすぐは緊張していていても、
しばらくすれば慣れるか、少なくともお客さんが帰れば緊張は解けるはずです。
でも、娘の場合、お客さんが帰った後も数時間緊張が解けず、
言葉も出てこないままで、ジェスチャーのみという事がよくありました。
また、娘の場合、人前でしゃべれないだけでなく、体が固まって動けなくなったり、
物が食べられなくなったりとういう事もありました。
他には母子分離に対する不安が非常に強く、家庭内では神経過敏で癇癪を起こしやすく、
夜泣きもひどかったです。
娘が3歳の誕生日を迎える頃、そんな娘の様子が心配だった私は、
ネットの子育て掲示板で「人前」「しゃべらない」というキーワードで検索をかけました。
そして、「場面緘黙症」という言葉を見つけたのです。
さらにネットで詳しく調べてみると、それは娘の症状にピッタリ当てはまっていました。
その時は、ショックというよりもほっとした気持ちが大きかったです。
「これで娘の事をやっと理解できた。もう『挨拶しなさい』などと叱咤激励して
娘を苦しめる事もなくなる。そして何より、これからは適切な治療を受けさせて
娘を楽にしてあげられる」と。
ネットには早期発見、早期治療が大切であると書かれていました。
早速、子供の発達について相談できる機関へ何箇所か相談に行きました。
そこでは、「娘がしゃべらない場所を選択している」
「ずっとしゃべらずにいられるのは気が強いから」
「親が開き直ってよくなるのを待ちましょう」というような事を言われました。
つまり、娘は自分の頑固な意志によってしゃべらないだけであって、
親が気楽に構えていればいつかしゃべるようになるだろうという事になります。
結局、私が一番知りたかった事、「緘黙症はどういった治療法により、
どういう経過を経て、改善へと導かれるのか」を知る事はできませんでした。
それもそのはず、緘黙症の有効な治療ガイダンスが日本には存在しないと知った時、
私は愕然としました。
せっかく早期発見できたというのに、このまま娘の緘黙が長期化していくのを
黙って見ている事しかできないなんて・・・!!
現在、緘黙児の保護者達は手探りで治療法を探しています。
私も心理学関係や色々な療法の本を読んでヒントを探しています。
でも、そうこうしている間にも娘の貴重な子供時代は一日一日と過ぎていく・・。
そういったあせりや不安から逃れる事はできません。
こんな時、身近に頼れる専門家がいたらどんなに心強いだろうかと思います。
緘黙児は大人しくて目立ちませんが、
緘黙児の苦しみは確かにそこに存在しています。
たとえどんなに幼くても、自分が思うようにおしゃべりできない事に
歯がゆさや悲しみを抱いています。
緘黙症の治療法が一刻も早く日本に定着し、
緘黙児達が笑顔で過ごせる日が来る事を切望しています。
|