2007年9月24日の日本特殊教育学会第45回大会における『緘黙症シンポジウム』では、たくさんの方々からアンケートの回答をいただきました。
そのうち、ホームページへの掲載をご承諾いただいた方々のご感想・ご意見をすべて掲載させていただきます。(
かんもくの会HPのトップページはこちら)
なお、文中、緘黙症当事者の話題提供者の名前は「T」、高校教師の話題提供者の名前は「N」と改めさせていただいています。
1. 女性 大学院生
貴重な機会を設けていただきありがとうございました。
私は現在、中学生の女の子(小2より場面緘黙)のカウンセリングを行っています。
一年と少し経ちますが、未だに彼女の声を聴いたことはありません。
ですが、少しずつ笑顔を見せてくれるようになり、単語を書いてくれるようになりました。
今日のお話の中で、「自分を理解してくれる存在、話せないことを理解してくれる人がいることの大切さ」を知りました。
私は彼女にとってそんな存在であるか、もう一度反省し、もっと彼女を理解し、寄り添って支援したいと思いました。
本当にありがとうございました。
2. 女性 大学院生
特にTさんの発表に心を打たれました。
現在も苦しい状況にありながらも、懸命に発表された姿が緘黙症を抱える人、ご家族の未来へつながりますように。
ありがとうございました。
3. 女性 大学院生
今まで緘黙症という言葉は知っていましたが、あまり勉強する機会がありませんでした。
今回のお話を聞いて改めて勉強しようと思いました。
私も軽視してしまっていたところもあったので今日のお話をきけて本当によかったです。
4. 男性 大学教育学部教員
・発達障害の指導に長年携わってきたものです。
・特殊教育学会で取り上げるテーマだと感じた。
・来年も、自主シンポ等の形で、継続して取り組むことで、このテーマの実践と研究のきっかけにつなげてほしい。
・ありがとうございました。
・後期の大学の授業で話してみます。
5. 男性 大学教員
緘黙症の子ども達は数少ないながらも学校の中に実際に存在する。
しかしシンポジウムの中でも指摘されている様に研究はきわめて少ない。
そのため学校の先生方より相談されても十分な助言ができない。
そういう意味で本シンポジウムは大変意義があったと思う。
今後も是非学会で取り上げていってほしい。
6. 男性 大学教員
御本人の体験談と、高校の先生の話は、私自身が何となく以前から考えていた緘黙児(者)の心理とだいたい重なっており、納得できるものであった。
あえて欲を言えば、医者は緘黙をどう考えているのか、脳機能や薬物療法に関する研究はどの程度進んでいるのか、という情報提供が欲しかった。
子どもが小さい頃に、対人場面で感じる恐怖を低減させたり、コミュニケーション行動を拡大させていく技法を、指定討論者の園山先生からもう少し聞きたかった。
青年期以降になると、自尊心の低下、孤独感などの問題が生じてくるので、「かんもくの会」の存在や活動がもっと広まって、居場所やサポートしてくれる人のネットワークができるとよいと思う。
7. 女性 大学教員
今回はかん黙を知ってもらう機会だったととらえました。
ぜひ次も続け、対応についての実践発表がきけると良いと思いました。
8. 男性 特別支援学校 コーディネーター
本校(1学年40名)でも2年に1人は緘黙の生徒が入学しております。
河井先生の本に出会って理解の糸口にはなったものの、私の出会った子どもたちに対する決定的なアプローチにはつながりませんでした。
これには勿論、私の力のなさが多くあると思っておりますが、今の心の支えは、学校で発症した緘黙は卒業後よくなる、という花輪先生の私見でした。
実際に好転している卒業生もいますが、そうではない生徒もいます。
しかし、今日藤田先生からも出されていた原因について知りたく思いこのシンポジウムに出席しました。
日本の現状がよくわかりましたが、支援者としての具体的なアクションについてはN先生ご提示の「指導上の要点」に留まります。
もう一歩深い支援ができるようにというジレンマを持って今日は帰ります。
9. 女性 養護学校教諭
教員として養護学校に勤務して間もない頃、双子の男子生徒(肢体不自由をあわせもつ)と出会い、その子の状態が場面緘黙であることを知りました。
その子たちと自分を含めた教員の関わりが本当によかったのかどうか、6年経った今でも思い返すことがあり、今日は参加させていただきました。
当時は、からだのリラックスを促すための取組と、文章によるコミュニケーションを促す取組を中心に考えていたのですが、その考え方に教員間でも賛否両論があり、私自身も迷いながらの2年間でした。
現在悩んでおられる本人、保護者の方の声を聞くことが出来たこと、気づきの力を高めていくことの大切さを感じました。
今の私にできることは、「理解しようとする態度」を持ち続けること、そしてそれを少しずつでも周囲の人に伝えていく努力をすることかなと思っています。
本当にありがとうございました。
10. 男性 通級指導教室
通級指導教室担当です。
発達障害の子どもたちの教育相談を受けているのですが、最近、場面緘黙の子どもたちの相談を受けることが増えてきました。
市の教育相談室やSCでも具体的な対応が十分できないというのが現状です。
そういうなかで、今日は本当にたくさんの有益な情報をいただきました。
当事者の皆さんの生の貴重な声をこれだけ時間をかけてきけたことは今までありませんでした。
さっそく田研出版の本も2冊買わせていただきました。
今後とも御教示いただきたくよろしくお願いいたします。
11. 女性 特別支援学校 専任コーディネーター
今回のこのシンポジウムが学会で開催していただいたことに深く感謝申し上げます。
特別支援教育がいよいよ開始され、さまざまなニーズのある子どもたちへの支援を、全ての教育活動によって具現化することが新しい時代の扉をひらくことになります。
これまでの知見をさらに結実させ、次へ進んでいかねばなりません。
Tさんの話をきき、胸につきささるものがありました。
吐きそうになる思いを私たちへの期待とうらみであると言われました。
どうして当事者がこんなにしんどい思いをしていくのは理不尽です。
この期待にこそ応えていくべきであると痛感しております。しっかりせねば。
ありがとうございました。
12. 男性 小学校情緒通級教室教諭
緘黙傾向の子どもへの指導に当たったことがあります。
有効な支援指導ができず、うまくいかなかったことがずっと自分の中に残っていました。
貴重なお話を聞くことができ、本当によかったと思います。
Tさんの強い意志と今日の発表に感動しました。ありがとうございました。
発達障害を専門としていますが、この領域についても学習していこうと思います。
13. 女性 小学校講師
大学生時代、ボランティア先の小学校で場面緘黙症の女の子に出会いました。
そこで場面緘黙症の子にどのような支援ができるのか、資料や書籍を探したのですが、ほとんどそういったものを見つけることができず、ショックでした。
今日、こういったシンポジウムが開催されたこと、とてもうれしくく、そして有難く思っています。
問題意識を持つこと、支援することが大切なんだと、改めて確認しました。
周りには迷惑はほとんどかけなくても、本人はものすごくつらくて、支援を必要としてるんですよね。
言葉にならない声をくみとれるよう、これからも知識をつけていきます。
今日は、本当にありがとうございました。
これからもこういったシンポジウムを開いて頂けるとうれしいです。
14. 男性 特別支援学校
すばらしい企画とこの企画を後押しした大会運営の先生方の勇気に人としての生き方と真摯な取り組みに学会の一員としての誇りを確信しました。
今回の企画は現場でもよく出会う症状で、小生自身も若干あるようです。
今後もこのような分野に光を当て、我々自身が気づかずにいるハンディキャップやシンドロームを公開し、公表し、全ての人々の中で問題を様々の観点から議論すべきでしょう。
その意味で、今回の準備委員会の企画シンポジウムの設定は大正解だったように思います。
その証拠に300人近い会員が参集していました。
そこで、小生はドナ・ウィリアムスのように浜田さんやTさんが講演や本、芸術で商業ベースにのせて、コーディネート、コンサルタントをすればもっと広まると思います。
15. 男性 特別支援学校教諭
場面緘黙の生徒を受け持っております。
学校では、しゃべりませんが、入学後のかかわりを通して、表出が増え、担任として嬉しく思っているのですが、これから卒業後に、この生徒がどうなっていくのか、どのようなアフターケアができるのか、考えております。
しゃべらなくても、本人のジェスチャーやカードを使ってコミュニケーションがとれてくれればと願っているのですが…。
卒業後の支援のあり方について、どうあればよいか、聞きたかったです。
また、このような場を設定してくださることを希望しています。
ありがとうございました。
16. 男性 養護学校教諭
場面緘黙症についての研究会などが少ない中、今日のシンポジウムに参加させて頂き、大変勉強になりました。
経験豊かな発表を聴かせて頂き、私も担任している場面緘黙の生徒の為にがんばらなければと思いました。
17. 女性 臨床心理士
PDDのお子さんと、その保護者の方々への臨床心理をすすめている中で、緘黙状態を合併するお子さんと会うことが増えている現状です。
行動療法によって、状態の改善に力を入れようと心を新たにし、力を頂きました。
共にやれることをやっていきましょう!
18. 女性 幼児ことばの教室 言語聴覚士
発達障害のお子さんとの大きな違いは、いわゆる問題行動のような形で問題が表に出てきにくく、本人だけが苦しくつらい思いを抱えてしまう状態だということです。
支援する立場としては、その本人のつらさをできるだけ理解し、今、どう行動することを希望しているか、これからどうしたいか、といった気持ちをくみとりつつ、サポートしていけたら、と思います。
<幼児期に「ことばのきょうしつ」という場で関わった1つのエピソード>
5才女児.
呼名に返事をしない、など声をほとんど発しない。
弟と一緒に来室し、遊びの中で、少しずつ発話あり。
呼名時に返事しない時、「今日はやめとく?」ときくと、うなづく。
☆本人の意志を尊重しながら、無理なく、楽しい場面を増やしていく関わりを心がけました。
その後、小学校では話せているようです。
19. 女性 臨床心理士
保護者の方のお話を直接聞けなかったのは残念だったが、ご本人の話しを聞くことができて大変貴重だった。
周囲はこまらなくても本人が非常に苦しんでいるということを知ることができた。
20. 男性 教育相談センター
情緒障害の一つとしての知識はあったが、私のこれまで30年近い経験の中でも2〜3人しか関わったことがありませんでした。
経過は芳しくなく、決してうまくいったとはいえませんが、配慮し、話し合い最善の環境を努力したつもりです。
一番最近に関わった子について少し述べます。
(女性)
3-4才ごろに父親からはげしい虐待をうけ母以外には話せなくなった。
母もDVをうけ、小学校へあがる前に家出して当県へ逃げのびてきた。
小学校でははじめ通常学級だったが、不登校になり、その後情緒障害学級に入れる。
中学校も同じで改善がみられず、高校で養護学校を選択。
高等部でようやく居場所を見つけ、仲間から信頼され、生き生きと活動ができるようになった。
卒業まで結果的に話せることはなかったが、身ぶりやサインでたいていのコミュニケーションをこなし、進路先も理解のあるところがきまり、スーパーマーケットの正果部門のバックヤードに行った。
余暇も友だちと遊びに行ったりすると伝えきき、安心している。
話せなくてもいいとそのままの本人を周りが認め、支え合えたことが転機になったと思います。
お母さんもDVにおびえていましたが明るくなられました。
今回この学会でこうしたシンポがもたれたことは意義あることで、藤田準備委員長の英断を支持いたします。
ありがとうございました。
21. 女性 福祉関係
今日は貴重な体験・意見をおきかせ下さって本当にありがとうございました。
私も場面緘黙者を影ながらサポートしているものです。
サポートをはじめて10年くらいになります。
当事者の家庭の側にいて、しゃべらなくてもいいと受容しつつ、興味のあることを一緒に勉強したり、一緒に食事したり、メール交換などしています。
まだ、声は出ませんが、内緒話の話し方で、いろんなことを話されます。
楽しい時間を、家族でないサポート者を交えて共有することは、何かとてもよいことに感じます。
気の長い支援をこれからも楽しくして生きたいと思います。
22. 女性 児童相談所
企画から発表まで本当にお疲れ様でした。
一人一人の発表の言葉に重みがあり、聴者に問題意識をもたせるに十分のシンポジウムであったと思います。
整理された形での問題提起になっておりわかりやすかったです。(次回は実践の治療の話をぜひしていきたいですね。協力できればと思っています。)
当事者、保護者のお話は本当に貴重なものでここできけてよかったです。
感謝いたします。 ありがとうございました。
23. 女性 当事者
私は大人になってから、精神科で、場面緘黙症と言われまして、今も病院に通って、薬とカウンセリングを受けてます。 仕事はしたことがありません。(今は働けないので)
でも、かんもくの会には入りたいと思っているので、Tさんのようにシンポジウムなどで、私も発表できるようになりたいです。
24. 女性 保護者
小2の子供がかんもく症でしかも現在不登校で日々とても悩み苦しんでいるので今回のシンポジウムは当事者の方やかかわっておられる方のお話が聞けとてもよかったです。
これから専門機関の情報や体験談など具体的なことがもっと知りたいと思いました。
本当に当事者の方々の報告ありがとうございました。
25. 女性 保護者
とても参考になりました。
現在息子は高3で、高1の時高機能自閉症と診断されました。
場面緘黙は小2の時の担任から指摘され、小5では授業参観でも発表できるほどになりましたが、小6になってからクラスで孤立し話さなくなり、中1の2学期から不登校になり、その後、別室登校で卒業し、通信制の高校に進学しました。
高2の時、精神科医を変えましたら、高機能自閉ではなく場面緘黙から出ている症状だと言われましたが、検査をした個人のカウンセラーにはアスペルガー症候群だと診断されています。
私は教師経験があり、場面緘黙症の子も受けもっていました。
診断名はどうであっても今、一番と思っているのは、家庭が息子にとって居心地の良い場所であるように努力しています。
26. 男性 保護者
米子市から夫婦で参加しました。
双子の娘が緘黙症になって6年になりますが、学校の理解があり、少し安心しております。
今日、Tさんの苦しんでこられた話を聞いて娘の将来を心配してしまいましたが、今、立派に体験談を話される姿に感動しました。
今後もこうゆう機会を作って頂きたいです。