かんもくの会
2017年度日本特殊教育学会第55回大会における
シンポジウムに対するアンケートから




2017年9月16日の日本特殊教育学会第55回大会で開催した『かんもくの会のシンポジウム』の参加者からいただいたアンケートの回答を掲載させていただきます。

(一部、判読困難な字を誤って転記しているかもしれませんが、ご容赦下さい。)



1. 女性 当事者

 私は当事者です。大人になってからネットで知り、その後自分で調べていくうちに浜田さんのHPを見ました。シンポジウムには出てみたかったのですが、青森とか遠い所が多く、今年は愛知県で近くだったので参加致しました。
 物心ついてから話せなくて、ようやく人並みに話せるようになったのは30代だと思います。
 私が思う、一番の弊害は自分を嫌いになることだと。話せるかどうかよりも自分に自信が持てなくなったり、こんな自分なんて、と思ってしまうことが、後々の人生に響いてしまうと感じます。かんもくはその人の一部ですのでそれが全てのように話せないことだけにフォーカスせず、その人のできること、好きなこと、感じていることにもっと注目することも大切だと思います。かんもくがあってもなくても、その人が幸せに生きること、より良い人生を送ることにもっと焦点が当たってほしいと思っています。


2. 女性 小学校

 はじめて自主シンポジウムに参加しました。
成人当事者の入江さん、お子さんのそばによりそってのおはなしの小橋さん、ありがとうございました。
身につまされるおはなしでした。もっと早く先生が気がついてくだされば・・・とくやしかったです。
かんもく児を小学校で支援して6年目です。入学式からです。
できることをふやす。自信をもたせる! とても大切です。実感しています。はなすことは第一に考えない。代かえ手段をかんとくする。


3. 女性 大学院生

 初めての参加で、浜田さんのお話で、かんもくを受けいれて生きている、とおっしゃることが、印象的でした。
 小橋さんと入江さんのお話は、時々胸が痛くて、聴きにきてよかったと思いました。
 現在小学校の教員で、場面かんもくの女の子の教育相談に乗った私は、奥田先生にしかられた、と思って、どうしたらいいの?!と思いました。
 けれど、最後のところで、本人の良いところに注目してしゃべらそうとせず、充実した毎日がおくれるよう支援する、といった教育相談でたどりついた答えで良いのだという方向を教えていただけて、ほっとしました。
 2年生で相談を受け、節目節目で本を紹介しながら、現在5年生です。今後、本人をどうまきこんでいくかを、保護者に伝えていこうと思います。ありがとうございました。


4. 女性 臨床心理士

 緘黙の当事者のお話を聞けてとても勉強になりました。
 居間まで、(今もですが)どれだけつらい思いがあったのかと思ってとても複雑な気持ちになりました。
 自分も支援者の一員として、きちんと勉強して緘黙の子の大変さと緘黙の状態の理解と啓発を行っていけるといいなと思います。


5. 女性 養護学校講師

 私も診断はされていませんが、場面緘黙だったと思います。保育園入園から小学校3年生まで、園、学校では全く話しませんでした。入江さんのお話を聞いて共感できる所がありました。
 共通している所はたくさんありますが、それぞれの養育歴や気質などは一人ひとり違うので、現在支援者の立場から考えると、一人ひとりに合う支援法を繊細に見極めていかれるようになりたいと感じました。
 話を聞いて、私自身、承認欲求が強く自己表現している姿を見られたくなかったことを思い出しました。その反面、話すようになってから、自己表現をして生きていきたいと思い、学んでいた時代もあり、現在教員になったのも、自分の経験が生きていると思っています。
 当事者としても、何かできることがあったらさせて頂きたいと思いました。


6. 男性 教育委員会 指導主事

 本シンポジウムをお聞きし、保護者からのかんもくについての相談を思い出しました。
 幼稚園や小・中学校の先生の理解はまだまだだと思っています。
 一人の人間として人権や人格を尊重していくことが理解であり、しゃべれないからいろいろなことに参加できない(しにくい)状況を改善できるような環境をつくるようにしていかないと思いました。


7. 女性 社会福祉士

 以前から私は自分のことを場面かんもくだと思っていました。特に、母から教えてもらった赤ちゃんの頃の話が、今日小橋さんのお話しされた内容と同じで、「やっぱり・・・そうだったんだ」と気づきました。小学校1年生、高校1年生の時には休憩時間は苦痛で、「ずっと授業中だったらいいのにな」と思っていたことも、今日の入江さんの話と同じで、すごく共感しながら聴いていました。
 私は少人数でなれた人たちであれば話ができますが、いわゆる“女子会”のようなことはできません。例えば職場同期の結婚式の2次会などはあまりのストレスで断ったこともあります。そんな自分が嫌になることもありますが、何とか普通の生活ができているのは症状が軽いからなのかもしれませんが、共感できることはとても多く、これからの仕事(障害児療育)にいかしていきたいです。


8. 女性 教育委員会 スクールカウンセラー、臨床心理士

 シンポジウムに参加させて頂いて、私は、ほとんど全く、かんもくについて知らなかったということを痛感しました。成人当事者で苦しんでいる方が多いこと、また「重篤」とかかれていて、小橋さん、入江さんのお話からも、それが本当に事実なのだと感じ、とてもショックに感じました。
 私は今、SCをしていて今はかんもくの子と関わっていません。この「関わっていません」という認識こを、見直していくべきと思いました。奥田先生の「おとなしい子がいたらヤバいって思いましょう?!」という言葉、深く心にとどめようと思いました。
 メール相談をしていると、「うまく話せない」という相談もあります。「もしかして」という視野の広がりを頂きました。


9. 男性 大学教授 臨床心理士

 当事者の親さん、ご本人の二人にお礼を申し上げます。久し振りに緘黙のことを考えさせて頂きました。有難うございます。


10. 女性 当事者

 二人ともの話が自分の幼少の頃の話のようで胸がつまる思いで聞いておりました。昔のことを思い出す作業は少し辛いですが、みんな同じ気持ちなんだと改めて感じました。
 私も学校の先生からは「勉強は理解できているから大丈夫ですよ。」という放置。お家では「元気だから大丈夫」という放置状態でした。
 自分でも「一人も友達いなくても私は大丈夫。」と無理やり思い込ませていました。
 心と体の話もおもしろかったです。私も小学校高学年から頭痛、肩こり、今もなお続いています。あの頃から体の緊張が取れていないのかもしれないですね。
 最後の藤田先生の「人の役に立つ経験をさせるのはどうか」という話は、私も、ずいぶん前から思っていたことです。具体的にアクションをおこせるといいですね。


11. 男性 特別支援学校 教諭

 いつもながら、色々と考える機会となりました。ありがとうございました。様々な勉強会や研修会で啓発していきたいと思います。