かんもくの会
2011年度日本特殊教育学会第49回大会における
シンポジウムに対するアンケートから




2011年9月25日の日本特殊教育学会第49回大会(弘前大学)で開催した『かんもくの会のシンポジウム』では、30名の方々からアンケートの回答をいただきました。

そのうち、当会の公開サイトへの掲載をご承諾いただいた方々のご感想・ご意見をすべて掲載させていただきます。


1. 男性 大学院生

 緘黙症のことについては、本を読んだり、授業で聞いたりしましたが、表面的な部分だけで正直理解は浅いものでした。このシンポジウムでは、当事者の方の「思い」がひしひしと伝わってきました。また、自主的な活動については、会員の方にとってとても意義のあるものだと理解できましたし、その内容も回数を増すごとにより充実しているように感じました(会員のみなさんが本当に考えられているからだと)。今後も、当事者の語りや自主的な活動の公開を積極的に展開していただければと思います。それを受信する側の私たちも常にアンテナをはり続けていくとともに、他者に広げていくことが必要だと思いました。さらに、私は(言語通級担当)教師を目指す者として、この当事者の声を教育に活かしていくことが必要だと思いました。(かかわり方だけではなく、学校組織で取り組んだり、将来を見据えた指導を保護者、教員、医療・福祉などの機関と共に考えたりすることなど)



2. 男性 大学教員  資格:臨床心理士

 学生の教育、学校コンサルテーション等に役立つ情報が盛りだくさんでした。また、来年も参加させていただけたらと思います。


3. 男性 教諭

 私は、かんもく、そして、精神疾患である統合失調症を持っている母親から生まれた子供でした。母は私の誕生後にメンタル的な疾患を持ち、入院生活をしていました。私は祖母宅に預けられ、生活し、小2の時に祖母も交通事故で亡くなり、父子家庭となりましたが、自衛官である父に育てられ、又、大自然の恵みを得て、(祖母に幼き頃から、自然から与えられる力というものを教えられていました。(山林を歩んでの食糧集めや畑作など))成長し、時々、家に帰ってくる母と、アイスクリームやお菓子を食べるのが楽しみの日々をすごしました。そして、自然の中から与えられる力と、地域(自治会活動)での愛の力で育ちました。
 私はそのような中で育ちましたが、母のことで悩みつつも、今となっては感謝の気持ちでいっぱいです。大学院へそして教員となりました。大自然の恵み(農業、動物も含めて)(漁業)(林業)によって、エンパワメントが育成されると思います。食糧を得て生きていくことが生活の基本ですので、それが整えられれば人間として生きていけるという、ポジティブな考え方をしています。
 現在、モンテッリーリ教育を研究していますが、自動教育法を中心とした教育法は、人とのかかわりの指導法を中心としない、環境教育法です。
 人も人的環境となり、教材や教室は物的環境となります。このような、自由な教育法が日本の教育界に広がることにより、一斉教育による無理やりの指導が見なおされていくのではないかと思います。
 また棚田におけるボランティア等を利用した自然の中での児童生徒の育成も行っておりますが、食糧づくりに貢献することで、心のエネルギーも得ることができ、体からいい汗を流すことで心を解放することもできるということを経験しています。
 震災や津波などの時おり被害をもたらす自然ですが(人類に対する警告か)、大自然はみんなが幸せになることを望んでいると思います。
 母は他界しましたが、自然の中で豊かな表情をしている姿を思い出し、私を産んでくれてありがとうと伝えたいです。
 国立赤城青少年交流の家(群馬県)で実施されている青少年自立支援者のための研究交流フォーラム(宿泊)で、このようなテーマで研究交流が行われていますので、どうぞご参加下さい。


4. 女性 教員

 南すみれさんの体験記を読ませていただいて。
 今から20年くらい前に、ことばの教室に勤務させていただきましたが、そのとき緘黙のお子さんと出会いました。現在も、一人の女の子とかかわっています。その時代、私の先輩方は、緘黙について知っていらっしゃいました。すみれさんたちが出会った教師は、なぜ、書かれていたような対応をなさったのでしょうか。通常学級の担任なら「好きな人同士」の席替えのリスクは知っていなければならないはずです。「声が小さい」理由を考えなかったのはなぜでしょう。普段の様子をみていればわかるはず。まして、適応指導教室の教員が、何の支援もしないまま、「頼ってはいけない」なんて言うなんて、教員の知識のなさ、人として、子供をみつめていく、人間性のなさがいけないと思います。本当に申し訳ないと思いました。
 どんなに偉そうなことを言っても、小学校の教員は、学校にいる間しかかかわれません。その短い間に、どんな支援ができるか、研修をしていきたいと思います。今年度は「ナラティブ」「応用行動分析」での緘黙の子に対する支援について学びました。これから、子どもと話し合いながら、その子に合う実践をしていきたいと思います。ありがとうございました。


5. 男性 特別支援学校教員(教育相談担当)

 一言で言うと、かんもくの当事者の方は、ユニークさ、可愛さ、高い専門知識etc.とてもすばらしい感性、世界観を持っていると思います。私は、相談に携わっている者として、そんな当事者さんの内面の豊かさを知ると、私自身エネルギーをもらうことができます。相談対応者として、感じるのは、幼児期から小学校、小学校から中学・高校、卒後というライフステージのつなぎが大切であるということです。そのため、相談専門機関の役目は、本人にフィットする支援者・理解者が次のライフステージに支援をつないでいくことだと考えます。当事者の方が安心して次のステージ・次の環境でも「自分を理解してくれる人がいるんだ」という気持ちをもてるような、丁寧な引き継ぎが必要だと思います。


6. 女性 臨時講師(幼稚園教諭)  資格:臨床発達心理士

 現在もっている幼児の子供への対応の仕方に苦慮していました。その子の気持ちに最初は、うけとめ、少しずつ、広げている最中ですが、そのことが本人の負担になっているのではないかと考えています。
 当事者の方のお話を聞いて、本人の苦しさの深さを感じます。その中で、やはり幼児期からの支援の大切さを痛感しました。幼児期に支援できる手当てを色々と考えていくために力にもなるシンポジウムでした。


7. 女性 小学校教員

 当事者の方のお話をお聞きするのは初めてで、大変勉強になりました。ありがとうございました。

・医療との連携がすすめばいいのにと思います。(理解のある方が増えれば・・・)

・小学生の緘黙の子ども達とかかわりをもっていますが、話すこと以外にもコミュニケーションの方法はある、人とのかかわりを楽しむことはできると感じてほしいと思いながら接しています。
 子ども達から感情を聞くことはなかなかできないので、当事者の方のお話を聞ける機会があればまた参加したいと思います。


8. 女性 中学校 特別支援学級担任

 かんもくの会シンポジウム、全部参加したのは初めてです。(今までは途中で帰らなければならず等で)
 当事者のお話は、これから対応する子たちのための引き出しになり、参考になりました。
 でも浜田さんがおっしゃった通り人それぞれなのであてはまらないこともあるのでより多くの方のことをきいたり応用したりしなくてはなりません。
 そして話をきいて、これからどうすべきか…
 今回、奥田先生の校長先生の話はその通りと思いました!! 校長会でこのような話があれば!!
 解決は難しいですが、今回、思ったことは、私は少しでも緘黙(だろうと思われる)の子たちの通訳(まではむりでしょうが)になろう、そして知らない人に、こんなのがあるよと知らせる役になろうと思います。
 放置しないために、今いる(通常学級)子の担任・親子・SCに、働きかけをできるだけしようと思います。
 具体的な解決策はまだまだない分野ですので、少しでも広められるように、私も行動してきます。
 以前、緘黙症は発達障害ではないというお話がありましたが、そのことについても次回、何らかで問題提起あればと思います。私は、とても密接のように思えてしまうので・・・
 ありがとうございました。


9. 女性 特別支援学校 コーディネーター 教育相談担当  資格:特別支援教育士

 教育相談者の中に少ないですが、場面かんもくのお子さんがおられます。特別支援教育がすすみ、(我々の地域は)保・幼・小から先生方の気づきで紹介されてくる方が増えています(診断なし)。最初はADHD、PDDタイプの方が主でしたが、最近では、LDやかんもくの方も学校から紹介されてくるようになっています。
 本校に来られた方は全て小1,2の女児です。担当者2名のうち、1名は保護者と、1名は子どもに対応しています。年齢・性別を考え、紙に絵、イラストをかいて、また表情、身ぶりをつけて話しかけています。やがて絵や文字でその紙にかいてこたえてくれるようになってきます。中には数十分くらい経つと運筆に合わせて声が自然と出てくる子もいます。いつの間にか小声ながら初回で話してくれる子もいます。でもそこから主訴である学校でどうコミュニケーションをとり、人間関係を築いていくか等々についてはなかなかすすんでおりません。家庭以外の居場所にはなっているかなと思います。
 今日は貴重なお話ありがとうございました。


10. 女性 地域活動支援センター 相談員(精神当事者)  資格:精神保健福祉士

 知人に、全緘黙の成人女性が居るので、シンポジウムに参加させて頂きました。当事者からの情報発信や、様々な専門の立場から意見を頂けたのは大変有意義でした。
 知人の場合、本人に問題意識があるのかが分からない、コミュケーション方法、いくつか模索しましたが、家庭でも、緘黙があるため、親もどうしたら良いか「放置」している状況です。
 自分からみる緘黙と当事者からみる緘黙の事実のギャップをすり合わせ、専門家や行政がはたらいていくことの重要性、本人や家族への問題提起と共に、世の中への問題提起もしなければと感じました。代弁者の必要性も、当事者のストレングスを引き出す上では重要なんだと改めて感じます。しかし、どこまで代弁すべきか、見極めも必要になってくるのかなと思います。緘黙であっても、本人主体で、生きやすい社会の構築、生きづらさの共感、緘黙の方と関わる者には、まだまだ、求められることは増えてくるのだろうと感じます。


11. 女性 スクールカウンセラー

 今日のシンポジウムに参加して本当によかったです。今まで関わってきた場面緘黙の子どもの顔が浮かんでいます。
 一件無表情に見える顔の陰に、どれほどの苦しみを抱えているか、そしてまたどれほどの豊かな心を持っていることか。
 学校現場には、まだ気づかれず、ただの「わがまま」と思われている緘黙児がいます。一人でも多くの教員が、緘黙症についての正しい知識を持つことを切に願っています。
 わたしも、自分ができることをできる形で、これからも実践していこうと思っています


12. 女性 医療機関  資格:臨床心理士

 緘黙について楽観視せず具体的な提言をしていこうとするのは大賛成です。
 会が治療的でありつつも、運営していく側の方が疲労してしまわない工夫が大事だと思いました。
 幼児期からの介入がやはり大切だと思います。
 1歳6ヶ月検診や3歳児検診では、対人関係の違和感はある程度チェックされていても、そこから幼稚園に入ってなれていくタイプの子とそうでない子がいます。親子で早期から集団に入って教育(グループ)をやることも多いのですが、そうすると、みるみるお子さんが変わります。
 特に孤立化、核家族化が顕著になっている地域ではこういった早期の予防的支援が必要だと思います。そのためにも親ごさんがそういう場をさけてしまう家族をどう支援の場へおさそいするか、保健師さんの仕事も大きいと思います。


13. 男性

 “緘黙”の普及と効果的介入の普及は別の問題だと思います。でも、同時にしていかなければならないとも思います。


14. 女性 地方自治体 発達相談員

 途中からの出席で失礼しました。
 かんもくの子ども達を発達相談で担当することがあります。言葉を要しない発達検査だけでなく検査そのものを拒否されることも多く一体どのような困難をもっておられるのか知りたくて参加したいと思いました。
 今後、このような機会を有効に利用しながら勉強していきたいと思います。ありがとうございました。


15. 男性 大学教員  資格:特別支援教育士

 高校卒業後数年の就労支援の一つとして、特別支援教育コーディネーター特に進路担当が使えるかも知れません。
 貴重なお話ありがとうございました。


16. 女性 当事者

 自分もかつて当事者であった保護者でも、お子さんの状態を楽観視してしまうという話が印象に残りました。当事者や支援経験のある人ほど緘黙のことを真剣に受けとめ勉強していくことが必要だと思いました。


17. 女性

 当事者の方々の貴重なお話をありがとうございました。当事者の方から直接お話をお伺いする機会が持てて感謝しています。
 緘黙の事はあまり詳しく知らなかったのですが、成人になってもたくさん苦しんでいる人がおられるので、教員や先生が小さい頃から早めにみつけて対応していることがやはり大切だと思いました。