かんもくの会
2010年度日本特殊教育学会第48回大会における
緘黙症シンポジウムに対するアンケートから




2010年9月20日の日本特殊教育学会第48回大会で開催した『緘黙症シンポジウム』には約60名の来場者があり、9名の方々からアンケートの回答をいただきました。

そのうち、ホームページへの掲載をご承諾いただいた方々のご感想・ご意見をすべて掲載させていただきます。


1. 女性 大学院生

 お世話になっております。本日は貴重なお話をどうもありがとうございました。

 場面緘黙の克服には、早期発見・早期介入が大切なことは、お子さんの症状がまだ軽度なこと、治療期間が短期ですむこと、行動療法的な確立された治療方法があることがから明確だと思います。緘黙場面は幼稚園や学校であることから、先生が場面緘黙の知識と介入スキルを持つことが一番の解決方法だと思います。また、先生同士で効果的だった介入方法を情報交換できる場があればよいと思います。

 成人期のひきこもりの方に対しては、ひきこもり対策にどうのせていくかという話がでましたが、ひきこもりではなく、職場などでコミュニケーションに困っている方たちにどのように支援していくかということも課題だと思います。成人期の支援について、私も考えていきたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。
 今後とも、どうぞよろしくお願い致します。


2. 女性 特別支援学校教員

 以前、かかわりのある女の子の兄が緘黙であると保護者から相談を受けた際、満足に答えることが出来ず、心に残っていたことを、本日改めて思い直し、緘黙のことを喚起していかなければと思いました。
ありがとうございました。


3. 女性 小学校通級教室教員  資格:ST

 通級(言語・LD/ADHD等)で緘黙のお子さんに出会います。学校訪問で偶然出会ったり、相談を受けることがあります。親が一番理解しにくいという点は、親が気づいている子どもとの指導にばかりあたってきた自分にとってはなるほどと思いました。
 子どもの実態が(しゃべらないので検査などのできにくさはありますが)わかってくるにつれことばの遅れがあったり、吃が少しあったり、状況がわからず固まりがちであったり、緘黙の土台となる苦手さがあることが経験的には多いように思います。土台の苦手さに配慮するとともに、話せるようになったとしても長期的にみていく必要性があるとも思います。

 大人になってからの体験記を(ありがとうございました)きくにつれ読むにつれ早期に保護者に気づいてもらうための予後を含め学校現場からの伝え方などきわめていく必要を思いました。

 ありがとうございました。


4. 男性 大学講師  資格:臨床心理士

 当事者のエピソードを聞きながら、自身がかかわりをもった事例を思い出し、少し“状況の厳しさ”を感じました。シンポジウムでも多く語られた臨床心理士やカウンセラー、教育相談員、専門家という名称で仕事をしていますが、緘黙に対して理解のない同業者が多いことを感じています。そのような同業者に助言することも多くありますが、ベースとなる知識、技術がないこともあり、うまく支援できていない場面を多く目撃しています(その後、私自身が引き継ぎ、対応することが多いです)。
 又、様々な相談機関に所属していますが、年令等により制限をかけられることにより、対応・支援することが継続できない現状があります。公的には、通級指導ができることになっていますが、@保護者の同意が取れない状況、A知能検査等の実施困難により判断がつかないことが多くあります。とくにAは就学相談(支援)において偏重される傾向にあり、緘黙児の支援に対する壁になっているように感じています。
 長くなりましたが、在野で頑張ることもあるでしょうが、機関や学校・園内で共通見解をもつことと、多くの専門機関とも共通見解をもち、連携できることが今、在野で頑張る必要があるのではないかと感じました。


5. 男性 発達医療センター心理士  資格:臨床心理士

 緘黙症について、ほとんど具体的なことを知らずに現場に出て、今までのままでいてしまっていることに反省をしなければいけないと感じました。
 時々、お会いすることがあっても、何もされてこなかったという方がおられて、対応の遅れを感じます。
 専門家を育てるシステムを、行政も含めて作らなければ、専門家も困らないままになってしまうと思います。
 今日はありがとうございました。


6. 女性 発達医療センター  資格:臨床心理士

 “場面緘黙”はそれだけでは、情報が少なくても社会不安障害、不登校、ひきこもり、LDなどいろいろな領域と関わっていると思います。
 症状形成の契機や下地としても、発達障害を併発している事例も多いのではないかと思われます。実際に、臨床現場でみていても、これまで経験した10数例のうち、LDや、アスペルガーで緘黙を併発しているケースも1/3くらいありました。
 かんもくの会では、会員さんに実際にそのようなケースも含まれているのでしょうか。
 正しい理解がまず第一歩の治療だと思いますのでこれからの会の啓発活動(ガイドブックやリーフレットの作成)、専門家養成など提起が明確になったシンポジウムでした。
 ありがとうございました。


7. 男性 クリニック心理士  資格:臨床心理士

 早速学校等で調査、啓発活動を始めようと思います。
 その際に、保護者向けに「ほっておくと大変なことになる」とリスクを説明するための事例集があると良いのでは?と思いました。保護者の立場から「軽視していたけど後悔した」という体験が並んでいると説得力があると思います。


8. 女性 かんもくの会 立場:当事者の親

 たくさんの貴重なお話しをありがとうございました。
 やっと念願叶って会場へ足を運ぶことができました。

 保護者の立場から、1つつけ加えさえていただくと、保護者が子どもの異変に対して重くとらないだけではなく、前へ進めない原因の一つに、やっとの思いで、色々な方面へ相談をした際「お母さんの気にし過ぎ、お母さんが考えすぎ、くよくよするから・・・」と、いつも言われ続け、自分を責めて相談へ行けなくなってしまう場合があることも知って下さいね。