かんもくの会
2009年度日本特殊教育学会第47回大会における
緘黙症シンポジウムに対するアンケートから




2009年9月21日の日本特殊教育学会第47回大会における『緘黙症シンポジウム』では、多くの方々からアンケートの回答をいただきました。

そのうち、ホームページへの掲載をご承諾いただいた方々のご感想・ご意見をすべて掲載させていただきます。(かんもくの会ホームページはこちら

なお、文中、緘黙症当事者の話題提供者の名前は「M」、成人当事者の親の立場の話題提供者の名前は「A」、緘黙児の 支援の実践経過を報告した保護者の話題提供者の名前は「K」と改めています。



1. 女性 大学生

 私も幼稚園から中学校まで場面緘黙症でした。とてもMさんの状況と似ていて驚くとともに、おなじような人がいたという安心感が生まれました。
 現在、昼は派遣社員として働き、夜は夜間大学に通っていますが、大学では話せるのに職場ではほとんどコミュニケーションが取れません。
 カウンセリングに通っていますが何も変わりません。
 今日のシンポジウムに参加し、緘黙をもっと社会に理解してほしいと強く思いました。カウンセリングの先生もよくわかっていないようなので・・・。
 私は小学校の休み時間は、晴れた日は外で遊ぶ決まりだったので、ずっとトイレの中に隠れていました。
 「子供の」支援だけでなく、子供の時に支援が受けられなかった私のような人はどうすればいいのかわからない状態です。



2. 女性 大学生 資格:特別支援教育免許状取得予定

 緘黙症というのは大学の授業でお話しを聞いたことがあり、その授業の中でかんもくの会が作成した体験記集も読ませていただきましたが、今回は緘黙症ご本人様や保護者様のお話を実際にうかがって、色々と考えることが出来ましたことに感謝申し上げたく思います。
 緘黙症は、視覚障害・〜障害のように原因や支援方法がはっきりしておらず、ほとんど認知も進んではいないことが大きな問題だと思います。
 話せないという面だけとらえれば、自閉症や聴覚障害児でも非常に大きな問題とされ、代替手段を使ってのコミュニケーションの成立が図られるが、緘黙症の方は意志伝達の意欲があるのか、あるのだとすれば代替手段をどう取っていくかということが気になりました。
 話せないということがどういう理由から来ているのか、ということも知っていきたいことの1つです。
 話せないことが単なる甘えじゃないか、内気なだけじゃないかと周りも思いがちということも問題ではないかと思います。
 これらの問題についてこのシンポジウムで考えることが出来たことは非常に貴重だったと思います。今回のシンポジウムを始まりの契機として、今後緘黙症について考えていきたいと思います。


3. 女性 大学生

 講義などで緘黙症ということばを聞く、少し説明を受ける場合もあったが当事者やその保護者の話を聞くという経験は初めてでした。
 みなさん医療の診断を受けておらず、ネットや本で緘黙症を知ったということでしたが、今日本に緘黙症と診断したり支援を行っていくような医療機関・組織はどれくらいあるのかどうか疑問に思いました。
 自分が無知なことに一番原因があるのだと思いますが、そういった情報があまりに浸透していないようにも感じました。
 医療機関や教育機関だけでなくそういった立場にない人々にも情報がある程度広がっていくような機会がもっと増えていってほしいと思いました。


4. 女性 大学院生

 ありがとうございました。大変貴重な話を聞かせていただいてとても勉強になりました。
 緘黙症の方の苦しみや悩みはなかなか実際にはわからないため、感じていること等を話してくださってとてもよかったと思います。
 緘黙症についてこれからよく知り、出会った時にわずかでも支援をしていけるようになりたいと思います。


5. 女性 大学院生  資格:特別支援教員免許

 今回の当事者、保護者の方のお話を聞くことができ、本当に感謝しております。ありがとうございます。
 私は特別支援教育を勉強している者ですが、緘黙のある児童に会ったことはありません。ですから、3人の経験談から具体的な障害像、支援方法をはじめて知ることができました。
 お話を聞いていて、共通することは、対人への恐怖と、その経験によっておこる場所への恐怖が、障害の大きな根っこになっているのだと思いました。
 それにも関わらず、周りの理解や、症状・対処法などの情報があまりにも少ないことに、やりきれない気もちがわきあがってきました。
 以前、恐怖体験はすぐにその場所に対する恐怖に変容するということを聞いたことがあります。おそらく、場面緘黙の方はそいうった心理が影響しているのではないかと思いました。
 そうだとすれば、支援方法もいろいろと思い浮かぶことがあり、もっと緘黙について知りたい、勉強したいと強く思いました。それと同時に、そういった方たちのことを今まで何も知らずに過ごしてきた自分をとても恥ずかしく思いました。
 大学、大学院と専門で特別支援教育を学んでいますが、緘黙に関する研究、授業はほとんど、というかゼロに近いくらいないと思います。
 今後、もっと研究が進み、当事者の方たちが生きやすい世の中になるために、とてもよいシンポジウムになったのではと思います。ありがとうございました。


6. 男性 大学教員

 ご発表いただいた当事者の方、ご家族の方、大変だったとは思いますが、現状の中で大いに有意義な情報発信や表明だと感じました。同時に一応専門家としては、というより私自身、認識不足、不明を恥じています。通りいっぺんの説明が教科書的にあっても、実践例が非常に少なかったのだと思います。
 明らかに早期からの支援が大事なので、主に通常学級の担任の先生方へ、特別支援教育の一部として重要なのだと伝える必要があります。
 成人のひきこもりについては最近、各地で福祉としても取組みが始まっていますので、かんもくだけでなく、ひきこもりとしてのサービスを活用することが現実的だと思います。(保健福祉事務所へ問合わせると分ると思います。)
 シンポジウムとしては話題提供者数が多いのか、フロアーの発言が出にくい状況だったと思います。問答の場を作るのも一案ですが、特殊教育学会の自主シンポでは少し少ない傾向はあるようです。


7. 男性 大学教員  資格:臨床発達心理士

 当事者やその保護者の方から直接お話をお聞きできたことが非常に貴重だと思いました。
 特定恐怖の問題があること、他者に心配をかけたくない気持ちが強いこと、学校での自由時間への辛さが強いことなど貴重な特徴を伺うことができました。
 学校で、良かれと思ってなされる取り組みが、実は本人を苦しめてしまうことがあることも、十分に考慮しなければならないと思います。
 当事者が、「こういう配慮・取り組みはよかった」という点を今後も発信していただき、学校に取り入れられるようになるとよいと思います。
 Aさんのお子さんは個人経営の会社で1年ほど頑張ったとのこと、すごいことだと思いました。問題はジョブ・マッチングの問題だと思いました。
 それから、藤田先生のご質問からも推測されるように、実は緘黙以外に他の障害もかくれているのではないかとも思います。発達障害の診断が性格にでき親切にフォローアップできる能力のある医療機関を、ダメモトで受診なさることをお薦めしたいと思います。


8. 女性 特別支援学校教員 資格:特別支援教員

 担任する軽度の知的障害のクラス(高等部1〜3年)で場面緘黙の子どもを受け持つ教員です。
 かんもくの会のホームページでこのシンポジウムを知り今回参加しました。現在、かんもくに関する書籍や論文を読み、どんな支援が可能かを模索中ですが、周囲に(特別支援学校でありながら)かんもくの支援活動経験者がほとんどおらず具体的な方法もわからず、何かヒントでも得られれば、との思いでした。
 今回体験者の方々のお話を聞け大変有意義でしたが今後このようなシンポジウムがより多く広く開催され実践報告やそれらに関する意見交換ができる場ができれば...と強く感じました。


9. 女性 養護学校教員

 教員として、複数のかん黙の子に出会い、自分の子ども時代にかん黙の友だちに出会い、いろいろ考えているところです。当事者の方の声をおききすることができたのは、大変ありがたかったです。
 かん黙についてのとらえや、具体的支援法について知りたいと思っても、文献等ないのが現状でした。
 当事者のニーズを知ることが必要だと思いました。(いろいろなケースの子に出会ってきたので...)
 養護学校に勤務しているので、“発達障害”の方のもつニーズとの比較、関連性も気になるところです。
 これからますますふかめられていくことを期待しています。


10. 男性 農業高校教員

 現在担任しているクラスに場面緘黙症の女子生徒が1名在籍している。
 緘黙症への対応という事で、年度当初学校全体で研修会を実施したり、担任として保護者と面談したり、特別支援を専門としていない私にとっては不安のスタートであった。最も危惧したのは、言葉を話さないことによるクラスメイトからのいじめであった。クラス内の席順、授業中の発言、農業高校であるため、実習時の注意事項など、全ての行動において神経を張る日々であった。
 保護者としては、将来自立を促し、小中とは違う新しい環境で変わるきっかけになればと、本校を希望しており、生徒本人も同様である。
 構えずに接して欲しいという保護者の意向であり、他の生徒と同様に指導することを念頭に指導している。
 入学してから半年が経過し、幸いにもクラス内外のいじめもなく、本人の特技とする卓球部に所属し頑張っている。
 現在は友人も増え、個々には言葉を発し、会話をするようになっている。小中では担任と会話したことがないとの事であったが、今現在では、担任である私とも一言二言の会話は日常の中で行っている。今後も長い目で少しずつ成長を見守りたい。
 今回のシンポジウムでは多くの経験談を聞くことが大変参考になった。今後の指導、対応、会話、コミュニケーションに生かしていきたい。



11. 女性 教員

 何年か前の、発達障害への理解が得られていないころを思い出しました。研究や理解が進むことを切に願います。
 今、私ができることは、目の前にいるかん黙の子に少しでも信頼してもらえるように接していくことのように思います。


12. 男性 小学校ことばの教室教員

 コミュニケーション障害のむずかしさを強く感じました。
 当事者が、その困難さを伝えることのむずかしい吃音や、発音の障害とともに、かん黙の子供たちの実情をもっとよくとらえ直すべきと思いました。
 3人の方の勇気ある発言、ありがとうございました。


13. 女性 団体会員 資格:学校心理士補

 緘黙は必ず解決する。私はそう信じています。
 しかしながら支援の手が行き届かないのが現実のように思います。
 この機会に多くの方々に緘黙について学び、考えていただきたいです。このシンポジウムを通して私自身も多くのことを感じました。ありがとうございました。


14. 女性 当事者

 非常に為になりました。なかなか当事者の方、ご家族の方、大学の先生の方のお話をきく機会がなかったので、今日はお話を聞くことが出来て本当に良かったです。ありがとうございました。


15. 男性 元当事者 資格:社会福祉士、精神保健福祉士

 私自身も当事者という立場、またソーシャルワーカーとして、ピアサポートや周りへの働きかけなど自分のできることでお役に立てればと思います。


16. 女性 緘黙児の親

 今回貴重な体験談をお聞きしてとても勉強になりました。聞いたお話を参考にして今後、子供を支援していきたいと思いました。


17. 女性 当事者の保護者

 高一の息子が場面緘黙の保護者です。最近やっとネットで知り是非このシンポジウムに参加したく来場させていただきました。
 小さい頃よりやはり医師等より、自閉症、LD等違った診断をされ緘黙と言う言葉を知ったのは中2(不登校になった時)行った総合病院で、「お宅のお子さんはこちらでは診れません。自分で県外でもどこでも探して下さい」と言われ、その時から緘黙との付き合いになりました。
 何もしないまま何年か過ぎ、今はやっと道がつけられ、専門家の先生のカウンセリングも受けております。
 今日は本当に大変すごい話を聞くことができ、親として、子供も、今まで言うに言えない色々な大変な思いをして来ました。学校、家族に理解が無く、違った反応だったり...等々。ずっーと暗い不安な中を過してきてやっと少しずつ緘黙と言う言葉を耳にするようになりました。
 これから周りの社会の支援を大きく期待しております。
 書店に地方の書店までに緘黙の本が多く並ぶ日が来ますよう、地方大学の教育機関⇒現場の学校、地域に向けての研究が大きく成されていきますことを願っております。
 緘黙児が、地域で悲しい思いをしなくてすむ世の中が来ますようどうぞよろしくお願い致します。保護者としてのできることをさせていただく覚悟です。
 今日はよい一日をありがとうございました。





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