かんもくの会
2008年度日本特殊教育学会第46回大会における
緘黙症シンポジウムに対するアンケートから




2008年9月19日の日本特殊教育学会第46回大会における『緘黙症シンポジウム』では、多くの方々からアンケートの回答をいただきました。

そのうち、ホームページへの掲載をご承諾いただいた方々のご感想・ご意見をすべて掲載させていただきます。(かんもくの会ホームページはこちら

なお、文中、緘黙症当事者の話題提供者の名前は「Y」、話題提供中で取組みの事例を紹介した二人の保護者の名前は「M」、「K」と改めています。



1. 女性 大学院生

 たいへん勉強になりました。私は大学に入った頃に「場面緘黙」という言葉を知ったように思いますが、私自身も一時期緘黙でした。
 私の姉も中2から場面緘黙で、不登校から引きこもりになりました。今は自宅で家政婦のような形で静かに生活しています。外出はできます。外へ仕事に出られるように福祉センターの活動に参加していたのですが、少し前からそれも行かなくなってしまいました。
 成人が継続参加できる機関が早く充実してほしいです。
 不勉強で分からないのですが、やはり「場面緘黙」という診断は必要なのでしょうか? ←姉のことは、私が「場面緘黙」と思っているのですが・・・。



2. 女性 大学院生

 参加させていただきありがとうございました。とても興味深く聞かせていただきました。今まで緘黙の方々の団体があること、支援方法があることは知りませんでした。
 小学校の時に今思えば緘黙だったのかなと思う友達がいました。学校では小さい声ですが、家にいくと普通に話をしていて(学校の友だちである私とも)、子どもながら「なぜだろう?」という疑問をもっていました。
 今私はABAについてゼミで学んでいるのですが、今まで発達障害の人に有効ということはわかっていましたが、今日、久田先生、加藤先生の話を聞き、これも行動的にアセスメントをし、具体的な支援法を計画することが出来るということは、知りませんでした。さらに、緘黙についての研究が2,30年前にすでに研究として出されていたという話も聞き、ひにくな話だとも思いました。


3. 男性 大学院生  資格:臨床発達心理士

 たいへん勉強になりました。特別支援教育の中で、これほど対応の遅れている分野があるとは思いませんでした。また、成人期の問題についてもはじめて知りました。最後にあった3ヶ月で解決する、ということばがとても印象に残りました。


4. 男性 大学院生

 なかなか聞けることのできない貴重な緘黙症の体験談が聞けて、大変勉強になった。本などで少しは知識はあったが、現実の厳しさを知ることができた。また保護者の苦しみなどについてもよくわかった。
 Yさん、浜田さん、久田先生、加藤先生の話は今後の学生生活の研究の中にいかしていきたいと思っています。ありがとうございました。


5. 男性 大学院生  資格:特別支援教育免許1種

 今回、シンポジウムに参加して、緘黙症を体験をした方々の生の声、専門家の方々のお話しを聞くことができ、とても勉強になりました。以後、緘黙の研究が進むことで、特別支援教育の可能性が更に広がっていくことができる印象を受けた。
 私は、発達障害の二次障害について興味があり、考えるところも多くありました。この二次障害は、まだ完全に確立していないものであると考えられるが、二次障害の研究が進むことで一次障害の症状や困難に影響をおよぼしていくものだと考えられる。


6. 男性 大学院生  資格:教員免許

 実際の当事者の方のお話は、今この場に来られるようになるまでのご苦労が想像され、非常に心をうたれました。
 また、日本でも緘黙児に対する支援が効果をあげていることを知り、刺激をうけました。
 この支援を広げていくためには、まず緘黙症についての理解を多くの人にしてもらうことがとても大事だと感じました。そのためにも今回のようなシンポジウムは貴重な機会だと思いました。緘黙児への支援があたりまえのように行われるようになることを、願ってやみません。私も将来緘黙の子に出会ったときにお力になれるよう、学んでいきたいと思います。


7. 男性 大学教員  資格:臨床心理士

 ご本人のお話はもとより、先生方のお話は大変勉強になりました。
 巡回相談にて出会ったケースにも、是非今日の知見を応用できればと考えております。
 ありがとうございました。


8. 女性 大学教員

 教育現場で学校の先生方を支援する立場にいるので、大変勉強になりました。当事者の方のお話を聞けたのも有意義でした。
 成功例のお話を聞くことができてよかったと思いますが、なぜ成功したのかについて、もう少し専門的に説明がほしかったです。(というか、専門の話との解離が目立ちました)
 プラス、現場の先生方にとっては、支援のポイント(メカニズムではなくて、どうすればよいのか)を知りたいと思うので、どちらも必要なのかなと思います。
 おもしろかったです。来年も楽しみにしています。


9. 女性 大学院派遣教員  資格:特別支援教育士

 当事者、担任の立場からのお話しがきけて、とてもよかったです。
 話すことの練習も大切だと思いますが、クラスへの所属感やそこでみとめ受け入れられている実感や生きていることのよろこびを与えてあげることも大切だと思います。そこには、学級経営の視点や手法が大切なのだと思いました。
 応用行動分析の技法と学級経営の両面から問題を考えたいです。


10. 男性 小学校教諭

 緘黙についての知識が専門機関を含め世間に広まっていない。それゆえに対応できない現状がある。特支援の対象として大きな声を出して広めていく必要がある。
 教員に危機感がないのと同様に保護者にない場合も多い。理解を広め、早期対応することが大切であり、最低でも保護者と学校が協力して対応しなければならない。私も現場で広められるようにかんばります。



11. 女性 通級指導教室担当者  資格:臨床発達心理士、特別支援教育士

 本日、当事者に直接、話が聞けたのは、とても有意義なことでした。
 現在、小1年で選択性かん黙の児童がいます。2才の時から保育所で話をしておらず、小学校でも話ができません。
 通級指導教室で行動療法を行いながら、徐々に緊張をやわらげているところです。私自身は、スーパーバイズをもらいながら行うことができていて、恵まれた立場にありますが、そのような状況でありながらも、この今していることが、直接学習と結びつかない内容であることもあり、先が見えにくく、不安です。また通常学級の担任等へ理解を得ていくことも大変です。ただ、本人が通級指導教室では笑顔がみられ、笑い声が出てきたので、それをはげみに頑張っています。
 各学校や現場での取組みがもっと、あきらかになり、「やってみようかな」と思う人が増えることを願います。

 大学の先生方は、短期でとおっしゃいますが、学校現場はそれだけに取り組んでいるわけではないので、現場は無理です。お気持ちはとてもわかりますが・・・


12. 男性 大学内地留学生  資格:特別支援教員

 緘黙の治療法は、日本で完成したとおっしゃるが、一般的な文献で手に入らないし、当事者の会も2年前に設立したばかりという状況で、”完成”などと甘んじてはならないと思います。情報がすぐに手に入り、正しい知識が普及し、まず、当事者がすくわれない状況がつくれないとならないと思います。ネット上での豊かなサイトがつくられることも望みます。


13. 男性  資格:臨床発達心理士

 保育アドバイザーとして仕事をしている時、「先生、見てもらいたい児がいるんです。」と言われて見た子供たちの多くは、情緒的な問題を持つ幼児でした。保護者と児、保育者と児の具体的な関わり方を助言するだけで、多くの子どもたちは3ヶ月程で問題はなくなっていきました。おそらく、緘黙予備軍の子供たちが多かったと思います。
 ・手遊び、スキンシップ、登園時、こう園時に言葉をかけるなど。

 緘黙になられた方々の幼児期の体験、??がかんもくへの予防的なとりくみへとなると思います。
 保育の中で幼児期の予防できればと思っています。


14. 女性 ことばの教室指導員  資格:言語聴覚士

 職場で、緘黙のお子さんと向き合って、何もできなかった経験もあります。
 親御さんが熱心である時、相談機関に期待をかけては失望し、不信を募らせている実態も実感があります。
 具体的な対処の方略があること、その資料・プログラムを広めることを多くの現場で進めていくことが急務と思います。様々なケースがあると思いますので、実践例も折りにふれ紹介していただき、多くの応用ケースが生まれていくことを望みます。

(最後のお話を聞いて)
 「行動療法を勉強している、動けるスタッフを使った対応」ができる環境は、大学研究機関が近くにないと難しいです。



15. 女性 大学生 当事者

 治療法はたくさんあるようですが、内容が難しくて理解しにくかったです。全国には大勢の緘黙児がいるのに対し、専門家の数はとても少ないだろうと思います。
 私は、緘黙症でつらい思いをしてきましたが、今は身近な人に話して理解してもらうことがとてもうれしいです。具体的な案として、学校の授業で障害の学習をする、または教員採用試験に取り入れるのはどうでしょうか。まわりの人の理解があるだけでも、きんちょうや不安はだいぶやわらぐのではないでしょうか。


16. 男性 当事者(保護者)

 本日は来て良かったと思いました。
 私の娘は小学校1年生でありますが、最近になって緘黙症であると、認識しました。
 それまでは、極度の恥ずかしがり屋であるとの認識しか持っておらず、心配しながらも、どこか楽観的な気持ちでいたのです。
 それがあるきっかけで緘黙症のことを知り、本日のシンポジウムにも急きょ参加させて頂くことにしたのです。
 まだ、知識がなくもっと知りたいと思っていますが、今日で「私の娘も、親次第で良くなる」と分り、強い気持ちが持てました。
 ありがとうございました。親と子とで頑張りたいと思います。



17. 女性 保護者

 Mさん、Kさんのがんばりは本当にすごいと思いました。
 学校生活を楽しみ自分に自信が持てるようになってほしい、これは全てのかん黙児の親が望んでいることです。細かい資料としてまとめてくださり(とても大変だったと思います)ありがとうございました。Yさんの言葉も心に響くものがあり発表して下さったことに感謝しています。
 私も保護者ですがかん黙児の二人が双子であり、発話できるクラスメートが一人もいないこと、(二人の症状も重さが違う)支援チームも結成できずにいます。
 昨年も思ったのですが(9月神戸)内容が濃いけれど時間が足りない。学会で発表される時間を多くとる、あるいは違う場での発表は難しいのでしょうか。
 浜田さんお疲れ様でした。このようなシンポジウムの企画実践は、人の役に立つ助けになることだと思います。皆様ありがとうございました。



18. 男性 保護者

 娘(現在高2)は、小学校高学年になるにつれて、学校で一言もしゃべれなくなってしまいました。幼少の頃病弱であり、入退院を繰り返していたことや、私の転勤で都会の学校へ小一の時転校した時に、担任により発言や運動を強制されたこともあり、学校ぎらいになった、あるいは、皆の行動についていけなくて閉じこもってしまったのだ、と思い込んでしまったのですが、今思えばまさに場面緘黙そのものなのです。
 小6の時、修学旅行へ行く当日まで、行くかどうか迷っていたのですが、当日になり、行きたくないと泣き出したため、私が無理矢理つれて行ってバスに乗せました。旅行へは行き、先生や友達とおみやげを買いに行って自分でおみやげを選び、買って帰ったのですが・・・、おみやげ(お菓子)をすてきなおみやげでとてもおいしいね、とほめてやったことで、今でも当時のおみやげの話をするほどになり、行かせて良かったのかな、本人は行って良かったのかなと複雑な気持ちです。
 親は、専門家ではありません。子どもがこういう病気なのだ、と気がつくまでには相当の時間を要しますし、全く気づかなくて子供が大きくなってしまうこともあります。
 発症して間もない頃や、症状に気づいた時に、親に対して的確なアドバイスができるように、教育のスペシャリストである、学校関係者の皆様にもっと知識を身につけていただけるように努力して欲しいと思いました。
 娘は将来どうなるのでしょうか? とても不安です。



19. 男性

 当事者の話や専門家の話を聞くことができたのは、非常に良かった。しかし、最後の意見交換会は、専門家の先生がほとんどで、一般の先生方や保護者の方は、意見を言うフンイキではなかったように思う。


20. 男性

 前回のシンポジウムから参加させていただいて、今回、緘黙への対応や解決策への知見が広がった。




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